2008年05月27日
沖縄 琉球泡盛
東シナ海に浮かぶ「沖縄」は独自の文化を育んできた、そのひとつが「琉球泡盛」
その始まりは500年以上も前の琉球王朝時代で、当時は東南アジアや中国と交易があり、
泡盛の原型はタイから伝わったといわれている、日本への焼酎の伝来ルートとして有力な説は、
琉球を経由して鹿児島へと伝わったというもので、 泡盛は日本の蒸留文化の始祖ともいえるのです。
琉球泡盛は分類上「焼酎乙類」とされるが、その造り方は独特だで、伝統的にタイ米を使用し、
沖縄固有の黒麹菌で原料米を全て米麹とし、水、酵母菌を合わせて一度に仕込む
(全麹仕込み)、又蒸留は常圧蒸留が主流で黒麹は多くのクエン酸を産み、
発酵段階でのもろみの腐敗を防いでくれる優れものなのです。(気温が高い沖縄は余計に
もろみの腐敗のリスクが高い)また全麹による1回仕込みも、本土の本格焼酎が2回に分けて
仕込むのに比べてシンプルで、この仕込が黒麹の働きと同様もろみの腐敗を防ぎながらも
野趣溢れる素朴かつ貫禄ある泡盛独自の風味を生み出している、
長期熟成による「古酒」も琉球泡盛の醍醐味だ全麹仕込みプラス蒸圧蒸留の濃醇な泡盛は
長期に亘り熟成することでよりふくよかで余韻のある旨みを奏でる、甕による貯蔵が多いが
瓶や、樫樽での貯蔵も見受けられるます。
平成7年に「地理的表示の産地指定」とされた、また県外出荷も順調に伸び
全国で琉球泡盛フアンの心をしっかり掴んでいる。
価格は720㎜瓶入り・・・1000円前後でリーズナブルな値段です!
2008年05月26日
奄美の黒糖焼酎
かって奄美諸島を治めていた島津藩は、サトウキビから出来る貴重な黒糖を
貴重な資源としていた。酒造りの原料にすることは厳しく禁じられ、人々は
サツマイモや椎の実などで焼酎を造っていたようだ、
時は流れ第2次大戦後アメリカの統制となった奄美諸島は戦後復興の中
サトウキビ栽培が再び盛んになる、
そして休業していた酒造家が黒糖による焼酎造りを始めたのだ、
黒糖製の独特な焼酎はその優雅な味でたちまち島の人を魅了し生活の中へと溶け込んでいった、
その後昭和28年、奄美諸島は日本へと復帰したのだが、難題が発生した、
黒糖を使う蒸留酒は基本的に「ラム酒」と分類され、焼酎と比較してより高い酒税がかかってしまう、
折角人々に親しまれ、地位を確立した地焼酎が値上がりしてしまうと大打撃だ、
そこで国税局は「奇策」にでた、それは奄美諸島の現状を鑑み「米麹」で仕込むことを条件に
黒糖での蒸留酒を本格焼酎として認めようと言うもので。但し北緯27度から29度
に点在する奄美諸島でのみの特例とした。こうして黒糖焼酎は独自の希少な銘酒として
そのアイデンティテイを築いたのです。
2008年05月24日
宮崎の焼酎
個性的かつ一徹な宮崎の焼酎
東国原知事の誕生で話題の多い宮崎県、知事が積極的にPRする通リ、自然豊かな
宮崎は農作物が豊富に稔る、広大な山々は美しく手付かずの原生林も多い、
そこを源とする水は清くかつ豊かで おとなり鹿児島とちがい宮崎は肥沃な土壌が多くの
稔りを人々に享受してくれた。
豊富に取れる農作物は穀物、野菜、果物とバラエティーで、勿論酒造りの素材として用いられている、
宮崎の焼酎がひとつにの素材にこだわらず米、麦、そば、芋、などいろんな素材で造られているのは
大きな特徴でしょう。
現在40弱ほどある蔵元も個性派揃い、大手の蔵はナショナルブランドの焼酎を全国へ発信し、
一方伝統的な製法にこだわりを持つ蔵も多く、素材を吟味し古典的な甕仕込みを実施するなど
伝承技法を今日まで貫いている、さらに自社による有機栽培、体験蔵の開設など独自で
品質向上と焼酎文化の伝承にも力を入れている。
県内の消費は好みで親しまれているが、地元の焼酎は20度で販売されているものが多い、
25度に比べリースナブルという事も理由ですが、その位の度数が一番風味を分かりやすく
美味しく飲むのに適していると先人達が感じたからだ。
全国のフアンへ向けて出荷も多く、中でも芋焼酎は鹿児島に負けづ劣らず人気が高い。
2008年05月23日
鹿児島の焼酎
鹿児島で「酒」と言えば「芋焼酎」のことで地元の人々の生活には欠かせない存在です、
蒸留技術が伝来したのは16世紀頃で当時は鹿児島でも米焼酎が造られていたようだ
古い文献にもそのことは記載されている、「さつまいも」は前田利右衛門が1705年に芋の苗を
鹿児島県の南部に持ち込んでからその栽培が始まった、農業には不適であった土壌「シラス」
に見事にマッチングしたさつまいもは、その栽培面積を拡大していったのです、
それゆえ芋焼酎の登場はその後と言うことで比較的歴史は新しいが、
それでも芋焼酎は200年以上の伝統を誇る。
さつまいもは世界的に良く栽培されている農作物だが、これを蒸留酒造りに用いているのは大変珍しい、
当時は米製の酒は大変贅沢なものでそれに変わる原料として豊富に取れる芋を使った庶民向けの
酒造りを始めた、これが芋焼酎造りの始まりではないでしょうか、
当時独特の風味を好んだ人、あの芋の匂いに結局馴染めなかった人と評判も色々、
それでも芋焼酎の存在が北東へと知られ始めた、
やがて一部のブランドに「プレミア」なる物が生まれた、
芋焼酎が持つ「不思議な神秘性」が徐々に話題となり200年初頭、一気にブームとなる
かっては敬遠されていた芋の匂いは蔵元の技術的努力により「芳香なやさしい香り」に代表されるような
考意的な印象へと劇的に変化したのです、確かに芋独特の味わいと香りはなんとも優雅でそして
存在感がある、
疲れたときに飲む「芋焼酎のお湯割り」程その包容力を感じる酒は無いかもしれない。
また業界を上げて更なる品質向上に取り組んでいる、鹿児島さんの良質なさつまいもと水を使い
鹿児島で製造、容器詰めされた本格焼酎を「薩摩焼酎」として「地理的表示の産地指定」として保護特定
された。
さつまいもの原料で、その品種で主流な物は「黄金千貫」です、普段私達が食用としているサツマイモと
ちがい、薄い黄土色(ジャガイモに近い)で形が大きくでんぷん質を多く含んでいます。
この他に「ジョイホワイト」や「ベニアズマ」などの品種もあります。
それぞれの焼酎にそれぞれの味が、
自分の好みの焼酎をお探すのも楽しいものですよ!
2008年05月22日
大分の麦焼酎
大分県は麦焼酎の一代産地である、英彦山水系や九州連山水系などの清き水も豊富で、
大手のビールメーカーもその水を求めて工場を新設したのもその証だ、大分の大自然は
古くよりこの地の酒造りを支えてきた。元々清酒県でもあり、今でも清酒と焼酎を生産する
「兼業蔵」が多く古来からの酒造りの伝統技術を焼酎造りにも生かしている。
「麦麹」による仕込が主流であるが、それまでは清酒つくりと同様に「米麹」による焼酎造りが
行われてきた。今日さらに新しい蒸留方法「減圧蒸留」でやさしく爽やかな香り、すっきりとした
味わいに生まれ変わった麦焼酎は昭和50年代に全国的に多くの支持を集めることとなった
今日全国に流通している大分の麦焼酎はこのタイプがメインで、芋焼酎ブームと言われる中で
大分の麦焼酎が最も多く消費されている本格焼酎なのです。
又今注目を集めているのが古典的な「常圧蒸留」による麦本来の風味をダイレクトに表現した麦焼酎
歴史的には古いタイプの蒸留方法であるが味覚の多様化から人気上昇中です、麦独特の
甘く香ばしい芳醇かつ個性的な味は逆に新鮮な印象です。大麦を全て麹と化した「全麹」仕込み
などなど各蔵元の麦焼酎へのアプローチは本当に多彩です。
2008年05月21日
熊本の焼酎 球磨焼酎
米が豊富だったからこそj生まれた球磨の純米焼酎
まだ日本が戦国時代の頃、大陸から伝来したであろう蒸留技術が球磨地方に来たのは
おおよそ500年程前、この地は相良藩が治めていた、風光明媚な盆地に流れる日本3台の急流
の「球磨川」が肥沃な大地を育み、稲作に適した環境であった、
江戸時代相良藩はおおよそ2万2千石となっているが、実勢で10万石以上とも云われている
それ程米が豊富に取れていたと思われる、人々の食生活を満たす米は伝来の蒸留酒造りの
素材として供され始めた。出来上がった米焼酎は日々のつらい農作業で働く人々の心も満たし、
無くてはならない存在となったようだ。
球磨地方は鹿児島との県境で一山越えればそこは「芋焼酎王国」、
これほどまで近い距離にありながら独自の米焼酎文化を守り続けてきた興味深い、また同じ
県内でも熊本市を中心とする北部は「肥後の赤酒」に始まり伝説の「熊本9号酵母」を
世に送り出した「熊本県酒造研究所」など清酒造りが盛んであったが、球磨の蔵元はあえて
米焼酎造りを貫いたこうした伝統とこだわりが認められ、この地で生産された米焼酎は「球磨焼酎」
として「地理的表示の産地指定」とされました。
球磨地方には現在29の蔵元がありそれぞれに技を競い合っている、 明治の頃にはなんと100蔵~
200蔵程あったそうだから驚きです、今日の球磨焼酎の主流は「減圧蒸留」による風味がやさしく
軽やかなタイプと「常圧蒸留」による濃厚な旨みの昔風の米焼酎も見直されている。
各蔵元も水や米などの素材にこだわり、黒麹仕込みや樽貯蔵など工夫しながらより良き味を目指している。
左より甕仕込みの焼酎「旬」、 温泉水を使用した焼酎「夢」、 樽貯蔵の焼酎「秋の露」「いきいき」、
黒麹仕込みの焼酎「峰の露」
2008年05月20日
福岡の焼酎
九州の最大河川「筑後川」の豊かな流れは肥沃な大地を育み、豊富な米を産出、
酒造りを盛んにした。そして筑後平野の「三潴」地区(久留米市の西南部)
はその典型的なもので、かつては京都の伏見、神戸の灘と並んで
「3大名醸地」と称されるほどであった。軒数は減少したものの今日でもこの地には
多くの蔵が存在し、さらには東方の筑後川流域まで含めると福岡は数多くの蔵元が
その伝統の技を今日に伝えている。
清酒中心であった為焼酎も古くは「粕取り焼酎」が主流であったが、蔵元の創意工夫
と消費者の嗜好の多様化から「もろみ取り焼酎」へと移り変わっている。
福岡は清酒と焼酎の兼業蔵が多いのも特長だ、しかし清酒圏にありながら
本格焼酎を専業とする独自のスタンスを貫いている。
清酒造りをベースにした米焼酎は流石にどの銘柄も高水準だ、特に「減圧蒸留」にて
蒸留されたタイプはふフルーティーな香りと端正な味わいがまるで吟醸酒と思わせる程
やさしい飲み口が元来の清酒フアンや女性の方々にも好評だ、
また最も多く生産されているのが実は麦焼酎で減圧蒸留の軽やかな風味の定番モデルから、
黒麹仕込み濃酵な常圧蒸留、甕や樫樽による貯蔵。初留れ(蒸留の初期段階)など、各蔵が
独自の創意工夫でバリエーション豊富な麦焼酎が送り出されている。これも消費者のニーズ
と蔵元経営の多角化のバランスで麦焼酎の生産が伸びてきたものと思われる。また福岡は
米・麦の他、様々な素材を原料にした本格焼酎も多彩だ、特産の八女茶、ゴマ、ありあけの海苔
など個性は揃い飲むと確かに独自の風味が印象に残る、「粕取り焼酎」も少数派ながら
品格ある味わいで独自の位置を確立している。
左からお茶焼酎の玉露、米焼酎の天恵、芋焼酎の尽空、吟醸酵母を使った米焼酎皆空
福岡は八女の喜多や酒造の製品です。
2008年05月19日
長崎の焼酎
玄界灘にある長崎県、壱岐は大陸との交流の要衝として、対馬と共に
重要な地位を占めていた。大陸からの物資や情報が行きかうこの地は、早くから
蒸留酒文化到達したと考えられている。
諸説ある日本えの伝来ルートの一つが、
朝鮮半島より対馬・壱岐を経由して伝来したと言うものだ。正確な資料は無いが
壱岐に焼酎造りが伝来したのは16世紀頃といわれています。
また壱岐は県内でも有数の穀物地帯を持ち、米、麦が豊富であった、島の人々は
伝来の技法を用いて米、麦を素材にした焼酎造りをはじめた。
このことから壱岐は「麦焼酎発祥の地」とされ現在も島内の蔵元によって
その伝統が受け継がれている。
壱岐の麦焼酎は独自の配合割合、米麹1/3 麦2/3をその特徴とする。米麹が持つ
天然の甘みに麦の香ばしさが絶妙にバランスされ、そのハーモニーは 壱岐焼酎ならではだ、
こうした歴史的背景と独自の風味はW・T・O「地理的表示の産地指定」により保護・特定され
世界的にも誇りうる銘酒として認められたのです。壱岐の蔵元は歴史を重んじながら
より個性的な味の演出、それぞれのスタンスで「壱岐焼酎」を発信し続けている。
●麦焼酎「壱岐っ娘」
2008年05月17日
小さなお客様
ピンポーンとお店の来店を告げる音
チョット遅れてお店に出ると 入り口にチョコントと二人
「コンニチハー」と可愛い声でごあいさつ、 こちらも「コンニチハー いらっしゃーい」と
いつもに無い声でごあいさつ。
無邪気な子供の可愛い笑顔に触れるとこちらも心が洗われるようです。
子供達の無邪気(すなお)な心を育て行くのは大変なことですが
健やかに育っていかれることを見守っていきましょう。
兄妹です10円のガムこれいくらですか?53円のお菓子も二人で見て
あれとこれでいくらになるか一生懸命計算している姿が仲良くほほえましく
いつの間にか鹿児島にいる孫の姿にダブらせていました。
中学生位になると ズボン は腰の下までウッ下げて来きます 「おっちゃんこらいくら」と、
財布はチエンーでつないだのをズボンの後ろのポケット、落とさないようにチエーンを付けているのか
今度聞いてみましょうね。
チョット強面の可愛いいお兄ちゃん達も声をかけると素直に受け答えしてくれます
こんなオジサンも地域に一人くらい居ても良いのでは と・・・。
2008年05月16日
焼酎コラム №Ⅸ
ご家庭でより美味しく本格焼酎を飲んでいただく為に
「前割り」での楽しみ方をご案内します。少し手間ですがいちどお試し下さい。
1・空いたペットボトルなどの容器を用意してください。但し、ジュースなどが入っていたものは、
匂いなどが残っていることがありますので、できれば水が入っていたものが無難です。
2・水を注いでください、市販のミネラルウォーターをおすすめします。次にお好みの
本格焼酎を注ぎます。この時水と焼酎の割合は目安として5対5位ですが、
お好みで調整してください。
このときしょうちゅうが25度なら
焼酎:水=5:5で度数は12.5度
焼酎:水=6:4で度数は15度
焼酎:水=4:6で度数は10度 となりますから参考にしてください。
さらに良く混ざり合うように容器をやさしく振ってください。
3・冷暗所や冷蔵庫で保存します。そのまま一日以上お待ち下さい。
事前に水で割ることで焼酎と水が充分に馴染みます。
4・さあいよいよ飲んでみましょう。冷蔵庫から出してそのままでも水割りとして楽しめます。
お好みで氷を浮かべるのみいいでしょう。
5・日本酒と同じ方法で燗付けして「熱燗」でもお楽しみ頂けます。普通の「お湯割り」より
円やかで旨みが引き立っているはずです。さらにこだわり派は「黒ジョカ」で頂くのもおすすめです。

紹介しました「前割り」での飲み方はどのような本格焼酎でも出来ますが、芋焼酎や泡盛
常圧蒸留の米焼酎・麦焼酎など、味が濃厚なタイプのものに特におすすめしたい飲み方です。
2008年05月15日
焼酎コラム №Ⅷ
蔵元さんによっては造り方や時間のかけ方に多小の違いがありますが
本格焼酎が出来上がるまでの基本的な工程をご紹介します。
1・麹造り
蒸した米または麦に「麹菌」を植え付け、繁殖させたものが「麹」です
「麹菌」により、米や麦のでんぷん質が小さくなり(糖化)「酵母」が栄養を食べやすく
(酵母によるアルコール発酵)するための作業です。
2・一次仕込み
タンクや甕などの容器に、麹と水、酵母を入れます。
酵母が麹を食べてより元気な酵母へと成長させる為の作業です
慎重な温度管理が必要です。こうして出来上がったものを「一次もろみ」とか「酒母」
と呼んでいます。
3・二次仕込み
元気いっぱいの酵母が多数生育された一次もろみに、主原料と水を加えます。
この時、投入する主原料が米なら「米焼酎」、薩摩芋なら「芋焼酎」となるのです。
酵母がどんどん主原料の栄養分を食べて、多くのアルコール分を生み出す工程です。
4・蒸留
二時仕込みによって出来上がった「二次もろみ」を蒸留器へと移し、いよいよ蒸留です
「本格焼酎」はこの工程を一回だけ実施します。もろみが熱せられて、水とアルコール分が
気化し、さらに冷却されて液体となったものが、本格焼酎の原酒です。
5・貯蔵・熟成
蒸留仕立ての原酒はまだまだ荒々しく、風味も安定していないので、暫らくの間静かに
貯蔵します。ホーロータンクによる貯蔵の他に、甕や樫樽よる貯蔵も行われています。
永い時間熟成されることで、味わいが円やかになって行きます。
6・商品化
いよいよ商品化です。一般的に本格焼酎は数種の原酒をブレンドにより風味が高められ、
酒質も一定するからです。さらに水を加えて(割り水)限定のアルコール度数にします。
瓶詰めされて商品として店頭に並びます。
2008年05月14日
焼酎コラム №Ⅶ
特に注目したい本格焼酎の仕込みについてご紹介いたしましょう。
●黄麹仕込み
現在本格焼酎の主流は「白麹」での仕込みです。近年白麹の祖である「黒麹」での
仕込が見直されてきました、この2つの麹は現来、沖縄の黒麹に由来します。
一方「黄麹」は日本古来の麹菌で、昔から今日まで、清酒造りに用いられています。
また本格焼酎でも沖縄の黒麹が導入されるまでにはこの黄麹が使われていました。
しかし熱に弱かったので南国九州での酒造りには不向きだったようです。
今日味わいが華やかになる黄麹が見直され、黄麹による本格焼酎(特に芋焼酎)が
注目されています。
●全麹仕込み
本格焼酎では、米や麦など原料の一部に麹菌を植え付け酵母による発酵の後、
さらに米や麦など主原料を投入します。
全麹仕込みはその主原料にも麹菌を植えつけた状態で仕込む製法です。
風味に奥行きが出て、甘みも増幅しますが、発酵過程での管理により注意を払う
必要があります。
米焼酎や麦焼酎で注目されている製法です。
中央は高橋酒造の「待宵」(まつよい)
右の焼酎は全麹仕込み「完囲」
14年度仕込みの古酒です
味に深みがあり球磨焼酎の奥深い年輪を
感じさせる焼酎です。
2008年05月13日
焼酎コラム №Ⅵ
泡盛の伝来ルートは諸説あり、当時の様子を正確に裏付ける資料も有りません。
しかし、次の説が有力であると考えられています。
●琉球経路
中国や南海諸島(東南アジア)との交流が盛んであった琉球王朝時代、
現在のタイから蒸留技術が伝来され、奄美諸島を経由して九州に上陸したと考えられる説。
●南海諸国経路
日本の倭冠(海賊)が中国大陸沿岸や東南アジアなどに進出、海上取引品として、焼酎を含む
外来酒を九州へと持ち込んだと考える説。
●朝鮮半島経路
東南アジアから大陸経由で朝鮮半島まで伝来した蒸留技法が、大陸交流の要衝「壱岐」にもたらされ、
その後九州へ伝来したと考えられる説。
2008年05月12日
焼酎コラム №Ⅴ
その酒類に与えられた品質や評価が地理的原産地に起因する場合に、
世界貿易機関(WTO)の取り決めに基づいて、国税庁が原産地を保護・特定します。
世界的にはウイスキーの「スコッチ」「バーボン」、ワインの「ボルドー」や「シャンパーニュー」
ブランデーの「コニャック」などがその例です。
国内の本格焼酎では、壱岐焼酎(長崎県壱岐市)球磨焼酎(熊本県人吉市と球磨郡)
薩摩焼酎(鹿児島県) 琉球焼酎(沖縄県)が「地理的表示の産地指定」として特定され、
世界的にもそのブランドが保護されているのです。
米焼酎と言う呼び名ではなく球磨焼酎と呼ぶ。
2008年05月11日
焼酎コラム №Ⅳ
本格焼酎や泡盛は、長い時間をかけて貯蔵熟成することで、より奥深いしっとりとした風味となります。
熟成方法には主に次のような方法があります。
●ホーロータンク貯蔵
現在ではもっとも一般的な貯蔵方法。風味がニュートラルで安定的に仕上がります。
●かめ貯蔵
古くから行われている貯蔵法で、独特の芳醇な旨みが際立つものとなります。
●樫樽貯蔵
比較的新しい方法が樫樽での貯蔵法です。素材本来の持ち味に樫樽の香気が漂います。
甕貯蔵もこんな感じです。 甕の口は胴回りより少し小さい位です。
2008年05月10日
焼酎コラム №Ⅲ
本格焼酎の風味を決定付ける蒸留方法は主に2種類の方法があります。
●常圧蒸留
その名のとおり普段の「大気圧」(一気圧)のまま蒸留する方法です。
もろみの沸騰温度が高く、素材の旨みをそのままダイレクトに引き出すので、
濃酵でより個性の強い味わいとなります。芋焼酎や泡盛では、この蒸留方法が主流。
また米焼酎や麦焼酎の世界でも常圧蒸留の濃厚な風味のものが少しづつ市場を広げています。
蒸留技術が伝来した当時のままの技術ですから、古典的な蒸留方法ともいえます。
●減圧蒸留
高い山の山頂でお湯を沸かすと100℃より低い温度で沸騰しますよね。「減圧蒸留」はそうした原理を
生かした蒸留法で、蒸留器の中を「真空状態」にし、沸騰温度を人工的に低下させるのです。
そうすることで軽やかで爽やかなやさしい風味の本格焼酎が誕生します。現在米焼酎や麦焼酎では
この方法が主流です。また、芋焼酎にも減圧蒸留のものがあります。
左が常圧蒸留の豊永蔵 右が減圧蒸留の豊永蔵です
減圧蒸留の焼酎は独特の匂いも少なく飲みやすい焼酎です
常圧蒸留の焼酎は本来の独特な匂いが強いのですが3年以上甕や樽で寝かせた焼酎は
味が落ち着いてまろやかになり奥深い味になります。
2008年05月09日
焼酎コラム №Ⅱ
酵母菌と麹菌
酵母菌と麹菌は焼酎造りには欠かせない微生物ですが、それぞれに違った働きを行います。
●酵母菌
米や麦の栄養分を食べて、アルコール発酵してくれる微生物です。
空気中にも酵母菌が多数存在しますが、今日では純粋培養された優良の酵母を
酒造りに使用します。
本格焼酎には焼酎専用の酵母の他、清酒用の吟醸酵母を使用することがあります。
●麹菌
米や麦の栄養分は、元々粒が大きすぎて、先に紹介した「酵母菌」が食べようにも
口に入りません。(食べれないのでアルコール発酵できない)そこで「麹菌」の登場です。
麹菌が米や麦に付着することで、栄養分の粒が小さくなります(糖化作用)。
麹菌の働きがあって初めて酵母が活躍できます。焼酎や清酒を造る初期の段階で米、麦を蒸し、
麹菌を植えつけるのはこのためです。
米に麹菌を発生させたのを「米麹」麦なら「麦麹」となります。
また麹菌には「黒麹」「白麹」「黄麹」があります。
◎黒麹・・南国の沖縄の麹菌で、今日まで「琉球泡盛」造りには欠かせない麹菌です。
熱に強く南国での酒造りに適しています。濃厚な旨みを引き出すのが特色です。
◎白麹・・元来は黒麹でしたが、その中で色素の少ないものを選りすぐったのが「白麹」です。
現在の焼酎造りでは主流となる麹菌で穏やかで癖の無い風味に仕上がります。
◎黄麹・・日本に古来からある麹菌で、現在でも日本酒造りの主流となっている麹菌です。
以前は南国の焼酎造りでも使われておりましたが、熱に弱いのが難点、やがて黒麹に
役割を引き継ぎました。今日では黄麹独特の華やかな風味が見直され、黄麹で仕込む本格焼酎も
注目されています。
黒麹使用の芋焼酎類です。 白麹使用の芋焼酎です。
2008年05月08日
焼酎コラム №Ⅰ
●お酒は、大きく分けて日本酒やビールに代表される「醸造酒」と
焼酎やウィスキーのような「蒸留酒」に大別されます。
◎穀物や果物を液状化して、アルコール発酵させ、その液体を絞る→醸造酒
◎上記の液体を沸騰させ気体にし、冷却して再度液体にする→蒸留酒
●焼酎は「蒸留酒」です。さて「酒」に関する材料や製法の詳細は法令で細やかな規定がされていますが、
全てを書くと難しくなるので、とりあえず焼酎は米・麦・芋などの穀物の栄養を原料にすると思ってください。
◎穀物を液状化してアルコール発酵し、1回だけ蒸留⇒焼酎乙類
◎上記の液体を連続して蒸留⇒純粋アルコールが出来る⇒焼酎甲類
●焼酎の甲類はそれ自身味が無いので、後から調味したり、チュウハイやカクテルのベースとして
使用します。
それに対し、焼酎の乙類は蒸留が1回だけなので素材となった栄養分の持ち味が生かされています。
古来からある焼酎が焼酎乙類です。
●「甲類」「乙類」は酒税の分類です。古来からある(伝統的)乙類焼酎を、
今は敬意を込めて「本格焼酎」と呼ぶようになったのです。
ちなみに甲類焼酎は技術的に新しいので「新式焼酎」とか「ホワイトリカー」とも呼ばれています。
●琉球泡盛も「焼酎乙類」に分類されます。
甲類の宝焼酎とホワイトリカー 乙類の甕仕込み麦焼酎「古久」